ヒロシマ平和創造基金ヒロシマスカラシップ2013中村音楽奨学金奨学生レポート(2014年2月~5月・6月~9月)



寒い毎日が続いています。今年はシュトゥルム(ワインになる前の発酵中の状態)を飲む機会が多くありました。もうじきクリスマスマーケット、そしてグリューワイン(ホット・カクテル)の季節です。
2月~9月までの奨学生レポートを掲載します。



ヒロシマ平和創造基金ヒロシマスカラシップ2013中村音楽奨学金奨学生レポート
(2014年2月~5月)


2月から5月までの4ヶ月間を振り返ると、自分自身と向き合う期間だったように考えます。留学2年目の半年間は昨年向き合うことのできなかった語学に集中しました。集中することによりピアノに集中することのできない期間が悔しく、もどかしい時もありました。「音楽を勉強しにきたのにな。」と落ち込むこともありました。
しかしながら、語学学校で学ぶ音楽以外の内容も興味深いものでした。法律や、保険制度、クレーム、自然についてなど音楽ばかりに集中していると、考えないようなことばかりです。また、各国の仲間は、母国についてとても詳しく、そのことについても驚きました。映画や本を読む、作曲家に纏わる文献を読むなど、様々なことに挑戦しました。
現在(10月)の私は、ドイツ語も以前より話すことができるようになり、アジア人のみならずヨーロッパ人の友人も少しずつ知り合い、コミュニケーションを取ることができています。ドイツ語を使って音楽の話、音楽のみならず日常生活の話など、言語はドイツ語という手段、行いたいことは人とのコミュニケーションなんだ、と感じました。
1年目2年目とはあきらかに違う、ドイツ語を話すことが中心な日々。それでも、まだ解らないことが多いですが、この時期があるから今の私があるのだと感じますまた、プライベートでも国によっての文化や考え方の違いを知る度に、驚きのと戸惑いの連続でした。しかし、その事柄から留学は音楽だけではなく、多くのことを様々な角度から知ることのできる素晴らしい期間だと感じるようになりました。固定概念を持たず、まずは受け止め、広い視野を持てる人になりたいと感じると共にまだ語学を乗り越える期間が必要なので、前向きに努力します。

ヒロシマ平和創造基金ヒロシマスカラシップ2013中村音楽奨学金奨学生レポート
(2014年6月~9月)


6月から9月までの4ヶ月間は、心に残る数多くの事柄を経験しました。
まず、6月はドイツ・エッセンを訪れ「ルール音楽祭」を聴きに行きました。この音楽祭は1ヶ月に渡り、若手から巨匠と呼ばれる音楽家たちによる演奏会を開催します。今年のテーマは「左手の音楽」。演奏会プログラムの中に左手のためのピアノ作品や室内楽、ピアノ協奏曲が含まれています。
私はオープニングコンサートと、翌日に行われるディスカッションを目的に聴きました。
オープニングコンサートは、過去にジストニアを患ったピアニスト・レオン・フライシャー氏とピアニストニコラス・アンゲリッチ氏がソリストを務めました。メインプログラムはラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲とプロコフィエフの左手のためのピアノ協奏曲。フライシャー氏の心に自然と溶け込む音楽とアンゲリッチ氏の魅せる音楽に魅了されました。
また、2日目のディスカッションはレオン・フライシャー氏と世界一の医者と言われているドイツ・ハノーファーのエッカート・アルテンミュラー先生によるものです。レオン・フライシャー氏のこれまでの人生について、左手作品の魅力、作品から彼自身が得たこと、ジストニアについてなど2時間に渡ってたくさんのお話を聞くことができました。数年前より、レオン・フライシャー氏にお逢いしたい!と願っていた私にとって、彼を近くで観ることができた上にお話を聞くことができたことは感動的な経験です。
また、同月にドイツ・ベルリン、ライプツィヒにも訪れました。こちらは、ベルリンフィルハーモニーホールで左手のピアニ
スト館野泉氏によるリサイタルを聴くことが目的です。左手作品を数多く作曲されている近藤浩平氏も日本から渡独し、この度初めてお逢いすることができました。また、ベルリン在住の若手現代音楽作曲家や芸術家の方にもお逢いすることができ、「出逢い」という貴重な経験をしました。館野泉氏の演奏会も、左手作品の名曲から最新の現代音楽作品まで時代の流れを追った魅力的なプログラムでした。終演後のパーティーにも参加させていただいた上に館野氏ともお話させていただいたことは本当に嬉しかったです。
ライプツィヒに訪れたことも、貴重な経験です。メンデルスゾーン、グリーグ、シューマンなどの各家を見学しました。実際に訪れることにより各作曲家を身近に感じることができます。また、バッハ博物館ではバッハ直筆の多くの楽譜を拝見しました。J.S.バッハの丁寧な楽譜、そして家系の始まりはパン屋さんだったということも驚きました。メンデルスゾーンが描いた繊細でどこか素朴で美しい絵も忘れません。夜は伝統のある「ゲバントハウス」でゲバントハウスオーケストラによるヒンデミットとシューベルトの交響曲を聴きました。建物は違いますが、左手作品も作曲している作曲家でもあり教育者のライネッケも当時ゲバントハウスで指揮していました。そのようなことを考えると、開演前から胸が高鳴っていました。そして、ここで聴いた音楽は今まで聴いたことがないと想うほど素晴らしいものでした。
ライプツィヒは、街並みが上品で日本で例えると京都を思い浮かべるようだと感じます。
8月は日本に一時帰国し、演奏活動を行いました。8月6日はアオギリ平和コンサートにて被爆ピアノ演奏、9日は旧日本銀行広島支店にてサロンコンサート出演、17日は信楽寺で「おてらdeコンサート」出演、22日は中国放送RCCラジオ「canvas」にて生放送2時間、初めてのパーソナリティー・演奏に挑戦、30日は東広島市・緑の牧場キリスト教会にて演奏しまし
た。また、その間2つの取材も受けました。1つは月刊Wendy10月号「広島の顔」のインタビュー記事、もう1つはNHK Eテレ「ハートネットTV」(全国放送)の取材です。『私が今出来ることは全力で行いたい!』という想いと、多くの方のご支援あってのこの夏の演奏会実現、広報活動。演奏会を通して自分自身の演奏課題もはっきりと感じました。次回帰国の来年2月まで、その課題たちと向き合いたいと考えています。
10月から3年目となる留学生活、2年目に感じた様々な気持ちを乗り越えることのできるよう、1つに絞らず全てに全力を尽くします。そして、時に上手くいかないことが起こった時、反省する時はしっかりと反省し、落ち込む時はしっかりと落ち込み、前向きに歩みます。

スポンサーサイト
17:初めまして
ここにも頑張る世界がありました、

管理者にだけ表示を許可する
Profil

Yasuyo Segawa

Author:Yasuyo Segawa
左手のためのピアノ作品を演奏しています。
公式ホームページ: http://yasuyo32mini.web.fc2.com/
2012年よりオーストリア・グラーツ芸術大学大学院に留学。
片手作品も両手作品も垣根なく誰もが音楽を楽しむことのできる未来を目指したいと願い、研鑚を積んでいます。 
片手作品に興味を持っていただけましたら嬉しいです。
人との出会い、笑顔をみること、自然が大好きです^^*♪

-profile-
1988年 広島県出身 3才よりピアノを始める 

2005年 演奏時右手指に違和感を感じ、症状が悪化する

2006年 安田女子高等学校を経てエリザベト音楽大学に入学、10月局所性ジストニアと診断されその後左手作品と出会う

2009年 左手のピア二スト智内威雄氏に出会い、左手作品のレッスンを受け始める

2010年 エリザベト音楽大学音楽学部演奏学科を卒業、卒業演奏会、第80回読売新人演奏会など各新人演奏会に出演、
    広島プロミシングコンサート 2010 にて広島交響楽団と吉松隆作曲左手のためのピアノ協奏曲「ケフェウス・ノート」を共演
    広島国際文化財団ヒロシマスカラシップ2010中村音楽奨学金奨学生に選出される

2012年 新進演奏家育成プロジェクトにて広島交響楽団と M.ラヴェル作曲左手のためのピアノ協奏曲を共演
    オーストリア・グラーツ芸術大学大学院に左手作品のみで受験、合格する

2013年 左手のピアニスト4人によるコンサートを地元の広島市・呉市にて企画、開催
     one hand piano music series-1 瀬川泰代「はじまり」の CD を発売する
     ポーランドにて演奏会に出演、スロヴァキアやイタリアの講習会に参加する
     月刊ショパン7月号、留学リレーエッセイにて執筆する
 イタリアで開催されたコンクールにて左手作品を演奏し、1位Assolutoを受賞
     ワンハンド・ピアノフェスタ!~片手でチャレンジ!~を「左手のアーカイブ」プロジェクトのメンバーと企画、東京にて開催
      ヒロシマ平和創造基金ヒロシマスカラシップ2013中村音楽奨学金奨学生に選出される
      府中ライオンズクラブ主催「瀬川泰代ワンハンド・ピアノリサイタル」にて演奏、好評を博す
2年連続アオギリ平和コンサートに出演、被爆ピアノの演奏をおこなう

これまでに平本恵子、濵本恵康、横山幸雄、智内威雄の各氏に師事、また新聞、ラジオ、テレビなど各メディアに取り上げられる

現在、オーストリア・グラーツ芸術大学大学院に在籍し池場文美氏に師事

Neue Trackbacks

Suche